弱視

弱視(小児の屈折異常)とは?

弱視(機能性弱視)とは、目そのものは健康だけれど、遠視・乱視(屈折異常)や斜視が原因で視力の発達が遅れている状態を言います。
斜視は、見た目にも分かるので、早期の治療が行われることが多く、治療の時期が遅れて問題になることは少ないです。
しかし、遠視・乱視による弱視は、ご両親にもわかりにくく、治療の時期を逸して、大人になってからメガネをかけても視力が十分にでず、
車の免許も取れないという重大な障害になる場合も起こりえるので、注意が必要です。

ヒトは、角膜と水晶体で光を曲げて、網膜の中央(黄斑部)に、焦点を合わせます。
焦点が、網膜より奥の方に合うのが遠視、網膜上で、像が2重になるのが乱視です。
網膜上に映った像は、視神経を通じて、大脳の後ろの方にある視覚中枢に送られて、像の解析をして何が映っているかを判断します。
視覚中枢は、生まれたばかりの赤ちゃんでは、ほとんど働いておらず、視力は0.03ぐらいです。
網膜に映った像が刺激となって、13才ぐらいまで、視機能は発達します。
視覚中枢は網膜上のピントの合った像が刺激となって発達するので、遠視・乱視が強くて、網膜上にピントの合った像が映らない場合は、
十分な刺激を脳の視覚中枢が受けられずに、その発達が遅れます。
このため、メガネをかけても視力が0.5ぐらいしかでない状態になります。これが、弱視です。

ここで大切なのは、お子さんの視力がでにくいことは小学生以下の幼児では、3歳児健診以外には、発見されにくいことです。
ご両親も日常生活では気がつきにくいのが現状です。
ですから、3歳児健診は、大変重要です。
もし、万一弱視であることが分からず、13才になってしまうと、脳の視覚中枢の発達が終了し、
その後にどんなにメガネで矯正しても、視力は一生十分得られず、車の免許も取れないという大きな障害を背負うことになります。
そうならないためにも、3歳児健診などで、視力異常を指摘されたら、すぐに眼科を受診しましょう。
弱視の治療は、3才から6才ぐらいまでが最も効果が出やすく、
7才を過ぎると弱視の治療を行っても視力の向上が思わしくない場合があります。

弱視の治療法

弱視の治療の基本は、遠視・乱視を矯正するメガネをかけることです。
眼鏡で矯正した状態で網膜にきちんとピントを合わせ、鮮明な像を脳の視覚中枢に送ることで視機能の発達を促していきます。
メガネをかけるだけで視力が向上して、1.2以上の視力を得られる場合もありますが、
そうでない場合は、片目を隠して片目だけでものを見る訓練を行います(アイパッチ)。

アイパッチとは

通常、ご家庭で毎日1時間ぐらい片目を隠して、もう片目だけでものを見る訓練をします。
翌日は、前日に隠さなかった目を隠して、前日隠した目だけで、ものを見る訓練をします。
アイパッチの訓練を3才から6才の間にやれば、ほぼすべてのお子さんは、1.0以上の視力を獲得することが可能です。
当院では、常時80名近くのお子さんが、アイパッチによる弱視訓練を行っており、満足のいく成果を上げています。

※弱視などの子供が治療用に使う眼鏡やコンタクトレンズの購入代金について、
平成18年4月から公的医療保険が適用されました。詳しくはスタッフにお尋ね下さい。

斜視とは?

斜視とは、両眼の視線が同じ方向に向かない事を言います。

斜視には片方の眼が外側に向く外斜視、内側に向く内斜視、
上方か下方に向く上下斜視があります。
斜視が子供の頃にあると両眼視(両方の眼で見る力)が発達できない状態に
なってしまうので注意が必要です。

両眼視が出来ないと、現在流行の3Dテレビやゲーム等で、立体的に像が見えません。
斜視により、十分な視力が得られない場合は、早期に斜視手術を行う場合もあります。

また、斜視の様に見えても、実際はそうでないものもあります。
子供の頃は鼻の根元が低くて広い為に、両眼の間が広くなっており、内側の白目が少ししか見えない事があります。
見かけは内斜視の様に見える事がありますが、本当に斜視があるわけではないので、これを「偽内斜視」と言います。
成長に伴い顔立ちがはっきりしてくると、目の位置は正常に見える様になります。

※ご家庭での注意※

  • 就学時や学校、幼稚園等の施設での健診の際に、眼科受診を勧められた場合はなるべく早めに受診しましょう。
  • 子供の視力検査は基本的に3歳以上になってから行います。
    子供自身では物の見方の変化(見づらさなど)に気付きにくい為、目を細める・眼球の位置が内側、
    又は外側にずれる・顔を傾けるなどの症状が見られるなどの症状があれば眼科受診をおすすめします。
  • 眼科を受診される際には、眼位がずれている様な写真等がある様でしたら参考までにご持参下さい。